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FIMの採点方法〜表出〜【具体例多数】

こんにちは、作業療法士のよろずやOTです。

今回は、FIMにおける表出の評価についてまとめてみました。正直、表出は理解と表裏一体というか、採点の基準はほとんど同じになるので、まとめてしまってもよかったんですけど、個人的に分けた方がわかりやすかったので別々のしてあります。

FIMの概要・基本的な評価方法・他のFIM項目についてはこちら⇒【完全保存版!】FIMとは?点数のつけ方や具体例について徹底解説!

具体例だけパパっと見たい方はこちら⇒FIMの具体例を全項目分まとめました!【時間がない人向け】

今回は、具体例を多めに載せてありますので参考にしてただければと思います。

目次

FIMにおける表出の概要

FIMにおける表出の定義

定義:欲求や考えを患者が言葉(またはジャスチャー)で表せるかを評価する。評価者が患者の言葉を聞き取る際にどのくらい努力をするかを評価する。

FIMにおける表出の対象動作範囲

対象となる範囲についてですが、『表出』では伝えたい内容を相手にわからせる能力を評価します。この際、その意味・内容が状況と合っているかは問いません。ここは結構誤解しやすいポイントなので注意が必要です。

状況に沿っていない、辻褄の合わないことを言う場合であっても、その内容に関しては評価の対象になりません。

極端な話、とりあえず話す、伝えることが『表出』の対象だと思ってもらえればいいです。

次に、『表出』の評価のポイントを解説していきます。

手段について

まず、手段についてです。『話す』という手段が基本になります。非音声的な手段として、ジェスチャー、書字、コミュニケーションエイドが挙げられますが、これらを使用している場合は減点となります。

会話の内容

会話の内容はFIMでの評価上、複雑・抽象的な内容と、基本的欲求(単純な内容)に分けられます。

複雑・抽象的な内容

集団会話、テレビ・ドラマの話題、ドラマの筋、冗談、宗教的な内容、金銭問題など

基本的欲求(単純な内容)

食事、飲み物、排せつ、清潔、睡眠に関すること 暑い、寒い、痛い等も含む

介助の内容

運動項目と違い、手を触れて介助をすることがないため、見極めが難しくなります。

手助けの例を載せておくので参考にしてみてください。

例)ゆっくり話させる、大きな声で話させる、何度も繰り返させる、間をとりゆっくり話させる、ジェスチャーを混ぜる、内容を推察する

FIMにおける表出の点数のつけ方

基本的な採点方法

認知項目は運動項目の点数のつけ方と微妙に違うところに注意が必要です。

その違いは、5点の監視の部分です。認知項目で監視って、そもそも対人ありきなので、全部監視になってしまいます。なので5点は監視レベルとして10%未満の介助が必要としています。

それに伴い、4点の評価の幅が、運動項目では25%未満の介助であったのに対し、認知項目の4点は10%以上、25%未満の介助となっています。

その他の点数は運動項目同様です。

まとめると7点は完全自立、6点は修正自立、5点は監視・準備(90%以上自立)、4点は最小介助(75%以上90%未満自立)、3点は中等度介助(50%以上、75%未満自立)、2点は重介助(25%以上、50%未満自立)、1点は全介助(25%未満自立)となっています。

FIMにおける表出の点数のつけ方

まず、複雑・抽象的な内容が表出できるかどうかを見ます。できれば6,7点、できなければ5点以下となります。

5点以下であった場合、基本的な欲求の表出が可能かどの程度可能かをパーセンテージに従って評価していきます。

ただ、表出の介助量を判断するのは難しいですよね。

以下に、5点以下の採点のポイントを解説しますので参考にしてください。

5点以下の採点方法

まず、5点は基本的欲求、単純な会話の表出がほぼほぼできていればOKです。一応90%ですが、ほとんど手助けなく表出できるような状況です。

4点以下については、手助けの程度と、基本的欲求の表出の達成度で判断します。

表出の達成度が50%の患者がいたとします。達成度だけで見れば3点レベルです。その患者に対して、どのくらい手助けをしているかを確認します。状況によって手助けの程度が0%の場合もあれば、手助けの程度が70%の場合もあると思います。手助けが0%であれば3点でいいのですが、手助けが70%の場合はあれば2点となります。

これらのパーセンテージは一日の中でどの程度手助けが必要な場面があり、どの程度表出できたのかというものです。つまり、ある一部分のみで2点レベルの表出しかできなくても、ほかの場面では5点レベルだった場合、低い方の2点とせず、全体を通して評価していく必要があります。

次に、覚えておいてもらいたいのが2点のレベルです。2点のレベルの手助けとは、単語レベルでの会話、ジャスチャーの利用、yes-noでこたえられる質問の利用です。ここを軸として、これ以上なら3,4、以下なら1点と採点していくとわかりやすいです。

FIMにおける表出の具体例

7点 完全自立 ・政治的な話を含めたすべての話題において家族と話をしている

・金銭や保険について、状況は理解できておらず、内容は現実的でなかったが、自分の意見をしっかり述べることができた

・認知症があり、過去の話が主体ではあるが、家族との日常やテレビ番組について饒舌に語っている

6点 修正自立 ・多少の構音障害があり、聞き取れないこともあるが、複雑な内容まで表出できる

・すべて筆談だが、テレビの話題や退院後の生活について表出可能

・視線の動きだけでコミュニケーションがとれる機器を使用しているが、全ての日常的なコミュニケーションが可能

5点 監視・準備介助(90%以上自立) ・現在の日常生活については表出できたが、退院後の金銭面の事については議論することができなかった

・「おなかがすいた」等基本的な欲求については、表出可能

4点 最小介助(75%以上90%未満自立) ・「あのお茶をとってください」と要求することができるが、たまに「お茶」という言葉が出てこず、介助者はお茶かティッシュのどちらが欲しいのか尋ねなければならない
3点 中等度介助(50%以上、75%未満自立) ・「上着を出してください」と要求を伝えるが、半分の頻度で「帽子をとってください」と間違え、介助者が確認するか、患者による指差しが必要

・痛みや、空腹など基本的なことを表出するが、混乱状態であり半分程度は言葉にならず、推察が必要

2点 最大介助(25%以上、50%未満自立) ・「ごはん」「ねる」「しっこ」等単語レベルでの表出

・自主的な表出はなかったが、こちらが「もうご飯いらない?」「ベッド戻る?」とyes-noで答えられる質問をすることで、頷きで表出することができた

・ジェスチャーのみで表出している

・「みずを飲む」「トイレ」「おなかがすいた」等と書かれたコミュニケーションカードを指で指すことで表出している

・ホワイトボードに「寒い」「おしっこ」などと書き表出する

・痛むところを指で指して顔をしかめて、痛みを表出している

・基本的欲求の表出は全場面の60%の機会で行えるが、そのうちの70%の場面でゆっくり話させる、繰り返し言わせる、ジャスチャーを交えさせる等の手助けが必要

1点 全介助(25%未満自立) ・寝たきり状態で、全く表出は見られない

・人とのコミュニケーションを断っており、何も訴えない

こちらがおすすめの参考書になります。参考にしてみてください!

以上で終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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