こんにちは、よろずやOTです。
今回は、FIMにおける社会的交流の評価についてまとめてみました。
FIMの概要・基本的な評価方法・他のFIM項目についてはこちら⇒【完全保存版!】FIMとは?点数のつけ方や具体例について徹底解説!
具体例だけパパっと見たい方はこちら⇒FIMの具体例を全項目分まとめました!【時間がない人向け】
今回は、具体例を多めに載せてありますので参考にしてただければと思います。
FIMにおける社会的交流の概要
FIMにおける社会的交流の定義
定義:相手に迷惑をかけているか、自分の言動が人にどう思われているかわかること。
治療の場、あるいは社会生活の場で他人と折り合い、集団に参加していく技能が含まれる。
自分の要求とともに他人の要求をどう処理するかを意味している。
FIMにおける社会的交流の対象範囲
社会的交流と言う言葉からは、かなり難しいコミュニケーションが必要な気もしますが、簡単に言うと、『相手がどれだけ迷惑しているか、嫌な思いをしているかが分かり、行動を選択する』能力の事です。いわゆる『空気を読む』ってのもここに含まれます。怒って迷惑をかけたり、拒否して迷惑をかけたり、自己中で迷惑をかけたりって部分が対象になります。
どのような迷惑行為が対象になるかについては、以下の通りです。
FIMにおける社会的交流の点数のつけ方
基本的な採点方法
認知項目は運動項目の点数のつけ方と微妙に違うところに注意が必要です。
その違いは、5点の監視の部分です。認知項目で監視って、そもそも対人ありきなので、全部監視になってしまいます。なので5点は監視レベルとして10%未満の介助が必要としています。
それに伴い、4点の評価の幅が、運動項目では25%未満の介助であったのに対し、認知項目の4点は10%以上、25%未満の介助となっています。
その他の点数は運動項目同様です。
まとめると7点は完全自立、6点は修正自立、5点は監視・準備(90%以上自立)、4点は最小介助(75%以上90%未満自立)、3点は中等度介助(50%以上、75%未満自立)、2点は重介助(25%以上、50%未満自立)、1点は全介助(25%未満自立)となっています。
FIMにおける社会的交流の採点方法
対象範囲で書いた通り、社会的交流は相手に迷惑をかけるかどうかという部分が対象です。その時の相手とは評価者や他患となります。
ただ正直、『迷惑をかけられている』という評価って中々客観的に見づらい部分もあります。
例えば、
しっかり説明もしないで、レクのためにホールへ連れて行こうとしたところ拒否された。⇨拒否があり迷惑行為に該当、社会的交流は減点。
という場合はどうでしょうか。
普段からあまり説明せずに連れて行っている評価者であれば、自分の行動には何も問題を感じないかもしれません。患者からしてみれば、わけがわからなかったので断っただけです。人として当然の行動です。別の人が迎えに行くとすんなり来てくれるということもよくあります。
認知項目全体に言えることですが、対人での評価になるため、その相手の人間(自分自身を含め)や、置かれている環境を客観的に見て適切かどうかを確認してから評価していく必要があリます。(正直納得いかないことも多々あります(^^;集団への参加なんて個人の自由だと思ってます(^^;)
すみません、長くなりましたが、採点方法についてみていきましょう。
まず、スタッフや家族、他患と適切にかかわることができるかどうかをチェックします。(適切に関わるとは、対象範囲で挙げたような迷惑行為をしていない関わりということです)
⇒問題なければ7点。投薬で問題なければ6点です。
⇒適切に関わることができていないことがある時点で5点以下となります。
ここでは、迷惑行為が何回に一回の頻度で見られるかで判断します。例えば10回に1回迷惑行為があれば90%は自立レベルになるので5点。10回に6回迷惑行為があれば40%自立で2点。という具合です。
FIMにおける社会的交流の具体例
最後に具体例を載せておくので参考にしてみてください。
7点 完全自立 | ・常にリハに対して協力的
・内気な性格で個人行動を好むが、集団の中でも適切にふるまうことができる ・身体障害のために寝たきり状態だが、会話やyes‐no反応から礼儀正しくしたいと思っていることが確認できる ・夜間いびきがうるさく同室者に迷惑をかけている(いびきは不随意的なもので採点から除外) |
6点 修正自立 | ・行動コントロールのため、投薬されている
・新しい場所では黙ってしまうが、時間がたてば適応できる |
5点 監視・準備介助(90%以上自立) | ・個別訓練は問題ないが、集団に参加するには激励の言葉が必要
・口臭、体臭がひどく療法士が会いたがらないが他は適切に行動できる(臭いの指摘のみの介助は10%以下と考える) ・たまに不適切な言葉を使うこともあるが、その頻度が10%以下 |
4点 最小介助(75%以上90%未満自立) | ・慣れた状況であれば多くの時間適切に交流するが、時に交流を自分からは始めない、すぐ気が散る、評価中に癇癪を起すことがある。(慣れた環境でも問題があれば4点以下)
・不適切な行動は25%~10% |
3点 中等度介助(50%以上、75%未満自立) | ・患者が療法士の命令に従うことができ、訓練中は全く問題ないが、周囲とは全く交流しようとせず、黙っている。(訓練50%、他患交流50%)
・集団レクで常に一緒に座っていないと、集団の場にいられない ・引きこもりがちな患者の場合、介助者がほとんどの場面で会話をはじめなければならない。 ・一人でいたいため、ホールでの食事を拒否する |
2点 最大介助(25%以上、50%未満自立) | ・汚い言葉を使う頻度が50-75%
・指示に従えずミトンを着用しているが、それ以外は治療に従える。 |
1点 全介助(25%未満自立) | ・体幹抑制されている
・ベッドから起きようとせず、食事や薬も起こって拒否をする ・日中は何の問題もない患者だが、夜間せん妄で毎晩同室者、スタッフが迷惑している ・寝たきりの患者で意思疎通も困難(いわゆる迷惑行為はないが、「礼儀正しくしたい」という意思がない場合は1点として採点) |
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